こんにちは!キクシー 編集部です。 突然ですが、本サイト「Untied」には、紐解く、本物を深掘りする、見えないところを大切にする、という意味が込められています。このコンセプトをそのままに、スニーカーが大好きな“本物の人“に深い話を聞く、というインタビュー記事をお届けする企画です! 第二回目のインタビューは、スニーカー界に蔓延する転売問題について追及すべく、スニーカー好きの弁護士さんがいるシティライツ法律事務所にお邪魔し、お話を聞いてきました。 Untied インタビュー vol.1 宅万 勇太~TOKYO MAZE(メイズ)デザイン~ ←荻布さん 水野さん→ 【質問】ベタな質問で大変恐縮ですが、転売市場の抱える問題点についてご意見を頂ければと思います。 ■水野: 一般論でいうと、まず、商標権や著作権などの知的財産権の侵害品が出回ることによって、正当な権利を持っている権利者の人たちの権利を侵害したり、本来正当な権利を持っている人に行くべきお金が、侵害している人たちの方に流れてしまって、次のコピーが作られるさらなる原動力になってしまう、という問題が指摘できると思います。 一方で、市場で正当に購入した買い手の所有権も同時に尊重されなければなりません。どういう目的で購入するか、一度買ったものをどう処分するか等は基本的に自由であるべきで、この財産権の補償や所有権という考えが市場の下地を作っているわけです。中古品というのは、基本的には一度買った人の所有権が尊重されますが、同時に、さきほど申し上げたような知的財産権等の正当な権利者の権利も保護しなければならない、という知的財産権と所有権のバランスをどう図っていくかが難しいところです。これは法律的には「消尽」と呼ばれる問題です。 次に、別の問題でいうと、転売市場で活況のC2Cのサービスの体裁は、プラットフォーマー。例えば、メルカリやラクマは、プラットフォーマー自身が売買契約の主体者にはなっていない。売り手と買い手をつないでいるだけ、というスタンスです。もちろん、これはヤフオクなどの旧世代のCtoCサービスでも変わりがありません。 ただ、プラットフォーマーも契約の当事者じゃないから放置で良いというわけではなく、偽物が出てきたことが判明したらその都度対応しますよ、というスタンスが求められます。プラットフォーマーは大量にある出品の全てを見切ることは出来ませんので、やれる範囲のことをやればOK、という考え方ですね。これはプロバイダー責任制限法という法律の話です。とはいえ、プラットフォーマーというのは時代的に、産業的にも重要なポジションを築いているため、市場が大きくなるにつれ、ユーザーが安心・安全に取引できるように、プラットフォーマーが自主的に模倣品の取締りを行い、バランスを取ろうとしている状況が、現在のC2Cと模倣品をバランスに繋がっていると思います。 【質問】コピー品の売買&着用がそもそもいけない理由を、法的な観点からお聞かせ下さい。 ■荻布: まず、商標権の侵害になりうる、というのが一つあります。 (編集部:明らかに侵害、とはならないのですか?) もちろん、既存のスニーカーをそのままコピーして作って売れば、商標権の侵害になります。でも、例えばナイキのマーク、スウォッシュをコピーして作りました、という場合でも、ナイキのマークが、商標として「ナイキが作ったものなんです」というのを示すためにつけられていないのであれば、商標権を侵害することにはならないですね。 […]